PREBLICの今村です。毎週火曜日に書いています。
ご注文いただいてた革小物が完成したのでご紹介します。ご注文に加えて店頭分のストックとしてTHOMAS - Horween Shell Cordovanを製作していたんですが事前のご注文で店頭に出す前に完売してしまいました。ご注文いただいたお客様ありがとうございます。今、時間の取れる限り店頭分のストックを製作しておりますので、お買い逃しされた方はぜひ次の再入荷の機会にお買い求め下さい。
さてご注文いただいた革小物をご紹介致します。2回に分けてご紹介いたします。
まずはパターンオーダーのTHOMAS - Horween Shell Cordovan col.Black。
内装左側にカード室2室追加、そして左右のカード室をクロコダイルに変更しています。
右側のクロコダイルのカード室のデザインを変更しています。少し特殊な形をしているのは普段よく使われるカードを親指で出しやすくするために少し削っています。機能的なデザインなので嫌らしさもなくスマートな印象です。
そして、THOMAS - Crocodile col.Blackのパターンオーダー。こちらは金具の色をゴールドへ変更しています。定番のTHOMAS - Crocodile col.Blackの金具はシルバーなのですがゴールドへ変更。
別のお客様から同じ内容でのご注文いただきました。クロコダイルダイルは同じ模様(腑)が存在しないのでたとえ同じ仕様で同じTHOMAS - Crocodileだったとしてもその人のオリジナル。そんなところがクロコダイルの大きな魅力の一つだと思います。
2枚目の写真は、TUCO - Crocodileと一緒にご注文いただきました。
クロコダイルに限らず革小物は時間とともに光沢と深みが増していき、新品の時の状態よりも使い込んだものの方が価値が高いように思います。お使い始めは馴染むまで硬くて少しハードですが、1〜2ヶ月程で馴染んでいきます。長い時間お使いいただく中でレザーのへたりを抑え長くハリを持たせるために敢えて硬いレザーを使用しています。
<“Crocodile” 写真左 : 約10ヶ月使用(col.Dark Brown)写真右 : 約2年半使用(col.Black)>
<"Horween Shell Cordovan" 写真左 : 約8ヶ月使用(col.Dark Burgundy)写真右 : 約2年半使用(col.Black)>
ご注文ありがとうございました。
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さて4週に続けて1950-1960年代のアメリカとイギリス服装について書いてきました。
お酒の話のネタにでもなれば嬉しいです。
もう今週で5回目です。
第1回
https://www.preblic.jp/blog/2022/01/25/131403
第2回
https://www.preblic.jp/blog/2022/02/01/144433
第3回
https://www.preblic.jp/blog/2022/02/08/091427
第4回
https://www.preblic.jp/blog/2022/02/15/092420
今日は、イギリスの『モッズ』も影響を受けたとされる『IVY(アイビー)スタイル』について書こうと思います。
アイビースタイルは、1950年〜1960年代のアメリカンフットボールリーグに所属する有名私立大学に通う学生達のスタイルのことです。ハーバード大学、イエール大学、ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学の八校のことです。
これらの大学は長い歴史があるため校舎には蔦(アイビー)が絡まっていることからアイビーリーグと名付けられました。
これまで書いたスタイルは、いわゆる不良のスタイルだったんですが、このアイビースタイルに関しては、めちゃくちゃエリート。大統領も輩出した名門校のスタイルです。
<John F. Kennedy(ケネディー元大統領)>
ハーバード大学時代の写真
定番のアイビースタイルはというと、ジャケットは三つボタンで袖口のボタンは二つ、フロントにはウエストを絞ったダーツはないボックス型のシルエット。スラックスはヒップから裾まで真っ直ぐ落ちる太いもの。
初期のアイビーのジャケットは三つボタンで上2つ掛け。後に書く『モッズ』のスタイルもVゾーンが高く、初期のアイビースタイルはネクタイも比較的細かったのでその辺の影響は大きいです。
<MODS(モッズ)>
後にイギリスの『モッズ』に影響を与えたアメリカの『アイビースタイル』ですが、アイビースタイルは元々イギリスからも影響を受けています。シェットランドセーター、ツィードジャケット、オックスフォード生地、そして、ブレザーにクラブタイ。こういったイギリス由来のものがアイビーにはたくさん取り入れられています。
以前にも書きましたが、他国から入ってきたスタイルを自国独自で熟成させて、そのスタイルがまた別のスタイルに変化して元の国へ形を変えて戻ってくる。そしてまた自国独自で熟成される。流れが見えると少し見え方が変わって見えるのが面白いです。
そして、気になる普段着はというとドリズラージャケット(スウィングトップ)やイニシャルの入ったレタードセーター。白いソックス、チノパン、ペニーローファー。
アイビーリーグの学生は、品位のある学校ということもあり、服装に品を持たせることは大事なことでした。ただ学生なので何回着たり洗ったりしてもへたりにくいこと。
品があって丈夫なことは必須でした。
ちなみに、アイビースタイルをとても支持している国は本国アメリカ以外では、日本とイギリスです。
ただ広まり方と取り入れ方にはそれぞれ違いがあります。
当時日本は、西洋のスタイルを取り入れる最も大きな情報源は本と雑誌。「Take IVY」や「Men's Club」などの雑誌で詳しく紹介されていたことでたくさんの人が写真を見てアメリカへの想像を膨らませていました。そして大きな影響を与えていました。ライターや写真家を現地へ派遣してアメリカの学生の姿を定期的に撮影していました。
それに比べてイギリスでは少し捉え方が違っていました。正当なアイビーに精通しているのはあくまで少数であって、ファッション誌の大衆読者向けのものではなかったこと。また、アイビー・ルックを扱う英国のアパレル・ショップは、日本だとブランドとして大きく展開していましたが、イギリスは小規模で独立したものでした。
洋服のルーツは西洋にあり、自分のルーツや立場を証明する一つの手段が洋服であると捉えている西洋の考え方と、
西洋のスタイルに想像を膨らませながら独自に熟成させた日本のスタイル。
少し前までは日本のスタイルに洋服のルーツはないので「リアルじゃねえ」と現地の人達が一蹴りしていた部分は確かにあったように思います。でも研究熱心でいつの間にか現地の人よりも精通している人も増えていったことで、今では確実に評価が変わってきたように思います。
一概には言えませんが肌感覚的に、前ほど産まれがどこで国がどことかは関係がなくなってきて、その人自身が今何をやっているかが重要視されきたように感じます。
来週は最後に「モッズ」について書きます。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。