PREBLICの今村です。毎週火曜日に書いています。
現在、アトリエ店舗でご注文のウォレットを製作しています。全ての工程をここで一つ一つ仕上げています。お待ちいただいているお客様はもうしばらくお待ち下さい。
ご注文の完成も間近です。完成し次第ご連絡致します。
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さて4週に続けて1950-1960年代のアメリカとイギリス服装について書いてきました。
お酒の話のネタにでもなれば嬉しいです。
もう今週で4回目です。まだ読んでない方は先にそちらをお読み下さい。
第1回
https://www.preblic.jp/blog/2022/01/25/131403
第2回
https://www.preblic.jp/blog/2022/02/01/144433
第3回
https://www.preblic.jp/blog/2022/02/08/091427
今日書くのは、『59 Club』について。
よくロッカーズがレザージャケットに付けてるあの『59』と書いてるワッペンです。イギリス文化やレザージャケットが好きな方なら一度は見たことがあるかと思います。
『59』という数字。
これは設立された年号からその名が付きました。1959年にロンドンのハックニー ウィックのとある教会で、ジョン・オーツという牧師によって設立されました。
設立当時の目的は、戦後貧窮にあえいでいた若者達の救いになるように。そのため誰でも入会できるようにしていました。
そして、設立した年に会員が爆発的に増えるきっかけが。1959年4月2日のオープンを記念したイベントにイギリスで最初のロックンロールスターの『クリフ リチャード』を出演させたことでした。当時のロンドンではどメジャーのスターの出演もあってたくさんの若者が59Clubに入会しました。
当時の「テディーボーイ」達が聞いていた音楽が、アメリカのエルヴィス プレスリーやジーン ヴィンセント。イギリスのビリー フューリー、そして『クリフ リチャード』などを聞いていたのでど真ん中のアーティスト。
それから何度か59Clubのためにライブを披露します。写真は1962年のライブシーン。
そして、設立から3年経った1962年にはモーターサイクルの部門を自身もバイク乗りだった牧師のビルシャーゴールドが指揮します。
ACE CAFEに集まるロッカーズのために教会を解放し、血気盛んな若者達の良き相談役となります。そんな彼の地道な行動からロッカーズの会員はどんどん増えていきます。
当時の生活や社会への不安を脱しようと、自分は他の誰でもないと強く生きようとした意思表示がレザージャケットを羽織り、バイクに跨ることでした。同じような境遇を経験し、同じように社会との現実に抗おうとする者同士が同じ『59』と書かれたワッペンを身に付けること。言葉は交わさずとも同じ『59』を身につけた者同士が強い結束を産んだことは想像に難くないです。
そして、人数も増えクラブもどんどん大きくなっていきます。
ただ会員が増えればメディアも無視できなくなります。中には無茶をする人間も多く、当時イギリスはヘルメットの着用義務がなかったため、無茶な走りから転倒して命を落とすロッカーズも少なくなかった。そんな無謀な走りや行動からマスコミも「Folk Devils(民衆の悪魔)」として報じるようになり、警察の取り締まりも厳しくなったことから世間への風当たりも強くなっていきました。
そして、ロッカーズとほぼ同じ時代にロンドンには「モッズ」と呼ばれる集団がいました。バイクではなく、ベスパやランブレッタなどのスクーターに跨がりブーツではなく革靴。スクーターなので靴を汚すことなくスクーターに乗ることができます。聞く音楽や服装もロッカーズとは異なり、思想の違いから普段から歪みあっていました。
来週は、「モッズ」について書きたいところなんですが、アメリカの「IVY(アイビー)」について書こうと思います。「モッズ」の服装は「IVY(アイビー)」に影響を受けたと言われているからです。
ちなみに「アイビースタイル」は今まで書いたいわゆる不良とは全く真逆の超エリート達のスタイル。
また来週もお酒のネタにお付き合い下さい。