PREBLICの今村です。
以前のDiaryでラジオの話をしました。https://www.preblic.jp/blog/2021/02/23/120513
PREBLICの商品は広尾のアトリエ兼店舗で製作しています。製作する時に繰り返しの動作となる作業がけっこう多かったりします。ミシンの直線縫いや手縫いなど何点かポイントを抑えていれば繰り返しの動作となるような工程の時は営業時間外であれば、よくラジオや動画の対談などをBGM代わりに聞いています。
たくさんの人の話を聞いていて、長い間人気を保っている人達の話に共通しているものを自分なりに見つけました。
シンプルに聞いている人が面白いと感じるか、為になる話。むしろ人気を長い間維持するためにはそれ以外にはない気がします。
ただここはほぼ全員が共通した初歩的な理解。
ここからさらに大事な先があるように感じます。
『話す内容だけが聞き手に記憶されるか、もしくは人間(話す人)が聞き手に記憶されるか』
ここの違いはとても大きい気がします。話の内容じゃなくて人間が記憶された方が何かふとした時にその人のことを思い出すことができるから。
そんな人達の話に共通しているのは、自分の目で直接見たりどう感じたか『生きた話』をします。
たくさんモノを暗記して話している人の話は、聞いた瞬間は「なるほどっ」と為にはなるけど、話す人自身は記憶に残りにくい。
言ってしまえば、インターネットとか本とかで調べられそうな話は為にはなっても有り難みが薄い。
でも、自分の肌で直接味わった『生きた話』は、本にもインターネットにもない世の中にたった一個だけ。
そんな話は、ここで聞き逃すともう出会うことができないという気持ちが働いてやっぱり聞く人も大事に聞く。
そんな人の話は、やっぱり面白い。
これは前の話ですが、、、
ある有名な方が逮捕されてしまって、その人とも少し親交のあった方が思い出を語った時、
「彼女は、私の豆ご飯を美味しいと食べてくれました。普通に良い子なんです」
”豆ご飯”
ただ「良い子です」と言っても誰の心にも届かないけど”豆ご飯”という言葉が入るとその場の空気感とか体温まで聞き手の頭の中には想像した情景が浮かんでくる。
暗記した話じゃなくて、『生きた話』は人の心に残る。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
さて先日、先輩のテーラーでオーダーしていた麻のトラウザーズが完成しました。Spence Brysonというイギリスのアイルランド産リネン(麻)のスラックスです。この麻は通常の麻に比べてかなり厚め。
特有の光沢感があって履いていく程に皺が出てきます。麻という素材は履いた時に浮き出る皺が美しいとされているので皺が出てもこまめにアイロンをかけなくても良いんです。本来皺が受け入れられないスラックスでも麻であれば許されるんです。自分はこまめにメンテナンスができない性格なのでこう言った品もあってラフに扱える素材は大好きです。履き始めは特有のハリがあって着込むほど少しずつ柔らかさが出てきてレザーのようにエイジングが楽しめる素材です。
暖かくなってくると着る服も軽装になってきて身につけるものの数が必然的に減ってきます。身につける数が減るとアイテム一つ一つがとても際立ってくるので周りでも着用している人が少ない麻は良い意味で人の目を引いてくれます。独特のシャリ感はコットンやウールの風合いとは明らかに違うので。
気温や気候にあった素材やアイテムは季節の移ろいをより感じ楽しむことができます。
最近はこの3つのベルトをローテーションで着用しています。
履くほどに出る立体的な麻の皺が、レザーの経年変化とも違和感なく馴染んでくれます。
RANGE - Crocodile
RANGE
KENT
そして今週の前半は、レザージャケットのリペア、後半はレザージャケットの製作に取りかかっていました。
お客様からお預かりしていたレザージャケットのリペアがかなりヘビーなものが多かったため予定よりも時間がかかってしまいました。
そして、後半からはやっとレザージャケットの製作に取りかかることができ、今はパターンオーダーのご注文分などの作図の寸法微調整、ポケットなどの仕様変更などの作図製作をしております。
これが完了してやっと裁断に取りかかることができます。
PREBLICでは、広尾のアトリエで裁断〜縫製まで全ての製作工程をこなしています。もうご存知の方も多いかとも思いますが、広尾のアトリエ兼店舗で作っています。
作っている人間が接客することで、ダイレクトにお客様のご希望やご要望をお聞きし、それを形にすることができます。
モノが溢れかえって余っているこの世の中で、ご希望のお客様の数だけピンポイントでお渡しすることが最大の強みだと思っています。
早ければ来週には裁断に入れるかと思います。
レザージャケットが形になるプロセスも少しずつご紹介していけると思います。