PREBLICの今村です。
前回のDiaryでもご紹介したレザージャケットが完成しました。
前回のDiary https://www.preblic.jp/blog/2021/01/19/111116
ビスポークにてご注文いただいたディアスキンを使用したレザージャケットです。ようやくお客様にお渡しすることができました。
半比翼あき(ジッパーテープを半分隠す仕様)や襟のカーブ、袖口のカフスとジッパー。ディテール一つ一つをお客様とお話ししながら1着を組み立ていきました。
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![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/366509/blog/c47bceb580104d4e434a3d262fd3fa4d.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
ビスポークとはいわゆる土台となるデザインから変更するパターンオーダーとは違い、最初の土台となるデザインから製作していきます。
最初の土台から製作するのは正直とても高度で時間とエネルギーを要するものです。
ある意味「何でもあり」から始まるので、どこから手をつけて良いのか、どこから考えるのかに悩んだりしてものすごく時間がかかります。
単に「カッコいいやつ」とかだけで組み立てたものは、時間が経過したりするとどこかに違和感を感じたりしてしまうことが多いように感じます。やっぱり、素材や仕様、襟の大きさなどのディテール一つ一つに整合性がないからだと感じます。
そうならないために土台を作る段階で特に気を付けていることがあります。
それは、『辻褄を合わせる』ことです。単に「カッコいい」と思うディテールを組み合わせても、統一性や理論に欠けてしまい、どこかチグハグ感がでたり、どこか違和感を感じてしまうことが多かったりします。
この『辻褄を合わせる』ことをすれば比較的に時間が経過しても違和感などを感じる可能性を低くすることができると思っています。お客様には最初にジャケットを受け取った日から時間が経過しても満足感の高いものであってほしいと作り手としてはやっぱりそう願ってしまいます。
例えば、今回のビスポークのレザージャケットのデザインは、40年代後期〜50年代初期のレザージャケットに着想を得たものです。
この当時のものの襟の大きさは、PREBLICで定番で展開しているものと比べて襟を立てた時の襟腰が低いものが多く、剣先はカーブが強いものが多かったります。
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それから、ステッチ幅は3mm程幅が広くなっていたり、、、年代によって細かいディテールの共通点があったります。
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そういった感じでコンセプトとかデザインイメージを決めたら、それに合うピースを集めてパズルのように組み合わせていきバランスをとりながら『辻褄を合わせる』ことをします。
もうこの時代にデザインがカッコいいとか見た目が良いとかは当たり前になってきていて、それに加えて『辻褄が合って』いたりすると見た目の良さに加えて説得力が増したものづくりができると思っています。
PREBLICで展開しているレザージャケットも革小物も私が惹かれたイメージや影響を受けたピースを組み合わせて『辻褄を合わせた』もの達です。
自分は、洋服だけでなくて、ラジオのDJとか映画、漫画でもこの『辻褄合わせ』が丁寧な人とかものにどうしても惹かれてしまいます。
今回、ビスポークのレザージャケットを製作させていただいてそんなことを感じました。
そして、こちらはCARBON col.Charcoal Grayです。カウハイドの表面をほんの少し削ることで毛羽たちを与えたヌバックレザーに、しなやかなカーフスキンでパイピングしています。
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レザーなんですが、ヌバックを使用することでレザー独特の光沢を抑え、少し「気張った」感じを抑えてくれます。
ヌバックにすることで、着る服をあまり選ばないところもヌバックレザーの良いところだと思います。スウェット、ニット、ロンT、ボタンダウンシャツなど日常のワードローブに一つ加えるだけでぐっと引き締まった印象を与えてくれます。
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こちらのご注文は一点だけお客様のご要望でカスタムを加えています。
胸ポケットを気持ち小さく仕上げています。
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/366509/blog/4bd90f932eaf5c353bc65b33f3cd5130.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
もともとCARBONの胸ポケットは小さかったのですが、これまでご注文いただいたお客様がたばこやスマートフォンが収納できるようにしたいという方が多かったことから定番では胸ポケットは一回り大きいものでもご注文いただけます。
定番のポケットの大きさ
(胸ポケットのスナップボタンもありかなしかでお選びいただけます。ものを収納するときに中のものがボタンに当たって潰れてしまうのが気になるという方はボタンなしがオススメです)
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今回ご注文いただいたお客様は、
「そもそも胸ポケットにものは収納しないのと、見た目のスッキリさとクラシックさを優先させて胸ポケットは小さくしてほしい」
とのことで胸ポケットは小さく仕上げました。
デザイン的な好みもありますが、機能性を無視すればポケットが小さい方が確かに見た目はスッキリしますし、クラシックな印象もあります。
ただタバコやスマートフォンなどは収納できないので、機能面を重視させてポケットを大きくするか、機能面は無視して見た目のみを重視させるかは、お客様のライフスタイルに合わせたものがより良い選択だと思います。
ご注文ありがとうございました。