PREBLICの今村です。毎週火曜日に書いています。
このDiaryでも何度か書いた製作予定のパンツ。先日、お願いする縫い手の方と打ち合わせも無事終わり、今度はパンツ用の生地を選びにいきました。
もちろん老舗のイギリスの生地を取り揃えようと動いているんですが、それとは別に国産の老舗の生地も取り揃えられるよう動いています。
自分も好きなイギリスの生地メーカーはたくさんあるんですが、送料や関税などがかさむとどうしても値が張ります。もちろんイギリスの生地メーカーは値段に見合ったそれぞれ得意技のようなものを持っています。この雰囲気はこの生地メーカーにしか表現できない、それぞれのメーカーが鎬を削った生地作りは確かに存在します。
イギリスの生地もやっぱり良いですが、国産の生地も良いものは確実に存在します。
国内なので海外への送料と関税がかからない分少し値段を抑えてご注文することができます。
どんな雰囲気で仕上げたいかもありますが、パンツを選ぶ選択肢の中に金額も含まれていると思います。懐事情も踏まえてその人に合わせた選択ができれば良いパンツを作ることができるんじゃないかと思い、選べる生地の幅も増やそうと思いました。
これまでたくさんのパンツをオーダーしたり、既成のパンツもたくさん履いてきました。自分が失敗から学んだことを活かした寸法やシルエット、素材をサイズ別にサンプルサイズをご用意して、サンプルを基にその人に合わせた微調整ができるパンツ。
イギリス、国産の生地。選んだ生地のクオリティーは間違いないので、後はこちらの腕次第です。
生地を見てるだけで本当に気持ちが高まります。できるだけ早くお見せできるよう動いていきます。
また進展などあったらご紹介します。
ちなみに一個強烈に自分に刺さった生地を1つご紹介します。1947年にスコットランドで創業したファブリックメーカー、Porter & Hardingのツィード。ツィードにしてはシャワシャワ感が少なく、通常のツィードよりサラサラした質感。織りの密度がとても高い生地で、ボールペンを刺して穴を開けても指で擦ると穴が見えなくなるぐらいタフに作られています。
この生地を紹介してくれた方が実演してくれてびっくりしました。
こういう一本の糸の中にところどころ違う色や太さに差を付けて織られたネップ素材。ビンテージでもよく見かけますが、よく見るネップ素材とは一線を画しています。個人的にとても好みの素材です。
よく見ると一枚の生地の中に小さい赤や黄色がところどころ散りばめられています。
タフで男らしくて、品がある。しかも履くほど深みのある経年変化をしてくれます。
孫の代まで履ける100年素材です。
これは、本当に楽しみです。
さて、今週も完成したご注文のレザージャケットのご紹介です。
今回、上でも書いた英国の老舗生地メーカーとはまた別のLOVATのツィードを裏地として使用したCRANK。上で紹介した生地とはまた別の生地メーカーなんですが、このLOVATの生地も申し分ない雰囲気を持っています。
このバンチから選んでもらいました。
一見裏地のみ変更したパターンオーダーのように見えますが、緻密に考えられたご注文でした。
襟裏は裏地で使用しているLOVATの共地。
使用したディアスキンは、色はブラックと謳っていますが、厳密に言うとものすごく濃いダークブラウンの色合いをしています。
この微妙なブラックとダークブラウンが混じったような色合いと裏地のLOVATのチェックのベージュのラインとディアスキンのトーンとうまい具合に合っていて、しかも内ポケットのレザーのパイプ部分もその色合いに合わせたベジタンのヌメ。
職人心くすぐられるジャケットを作らせていただきました。
ご注文ありがとうございます。
最後に今完売中のマネークリップウォレットTHOMASを製作中です。これまで何度も改良と改善を繰り返してきた商品の一つです。自分たちも思い入れは特に強い商品の一つです。再入荷しましたらまたご案内いたします。