PREBLICの今村です。毎週火曜日に書いています。

今週からまたレザージャケットの製作にとりかかっています。

今回は４着同時に製作しています。

パターン(作図)が完成してからレザーに触れる最初の工程は裁断です。

裁断する時はレザーの傷とか穴を避けながらテトリスみたいにパターンをはめこんでいきます。丁寧にパターンの置き場所を考えることで素材を満遍なく使うことができます。

こんな感じで光にレザー表面を反射させて、細かい傷とか穴の位置を把握しながらパターンの置き場所を考えていきます。

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さて、今回はBASE zipper lessについて書こうと思います。BASE zipper lessはデザイン的にもシンプルなシングルのレザージャケットです。シンプルなデザインだからこそ一つ一つのディテールが際立ってきます。

PREBLICで誕生してから現在まで微調整を繰り返しながら現在の形に至ります。

<シープスキン(ベジタブルタンニン鞣し)>

<ホースハイド(ベジタブルタンニン鞣し)>

いくつかディテールについてお書きします。

まずはセンタージッパーの仕様。こちらは半比翼あきにしています。ジッパーテープを隠し金具のみ見えるような仕様のことです。これも年代、国、ブランドによってディテールは異なります。

<シープスキン(ベジタブルタンニン鞣し)>

<ホースハイド(ベジタブルタンニン鞣し)>

センタージッパーの仕様は大きく分けて２種類。ジッパーテープも金具も全て見えるもの。

そしてテープが全て隠れる比翼あき。

BASE zipper lessを半尾翼あきにした理由は、多少の無骨さもありながら上品さを残すためです。そして、センタージッパーの大きさを小ぶりなものにすることでジッパーの主張を抑えています。

そして、首周り。

人間の顔にあたる部分がジャケットで言えば首周りだと思います。首周りの細かい寸法とか形などのディテールの違いで、ジャケットがハンサムになるか不細工になるかを大きく分けます。

首周りも国、年代、ブランドによって首周りの寸法は異なります。

BASE zipper lessの首周りはタートルネックのセーターやスカーフをした時には、途中でジッパーが止まる首周りに設定しています。

ここの首周りを小さくした理由は２つあります。１つは見た目。タイトな方がキチッと見えます。広げすぎるとTシャツ１枚でジッパーを上まであげた時にゆとりが大きく出てきてしまうからです。キチッと品よく見せるためにはタイトめでほんの少しの適度なゆとりが必要です。

２つめの理由は、着心地です。ジャケットは肩で着ると言われています。ジャケットを着る時、ジャケットの重さはほとんど肩にかかります。首周りを小さくすることでジャケットが肩に触れる面積が大きくなります。ジャケットが肩に触れる面積が大きいとジャケットの重さが肩全体に分散されて同じ重さのジャケットでも着た時は軽く感じたりします。

こんな感じで何度も微調整を重ねて今の形に至りました。こんなことができるのも定番だからこそだと思います。それから、自分で作れるという強みがあるからこそ細かくできます。たくさん作れないことは欠点ですが、その代わり時間をかけて仕上げることができます。

微調整というのはすごく地味な作業ですが、モノを作る時にはきっと大事な作り方のように感じます。

来週からご注文のレザージャケットのボタンホール、ポケット製作に入ります。