PREBLICの今村です。毎週火曜日に書いています。
先週から製作を開始していたレザージャケットが完成しました。
こちらは、BUNCHのパターンオーダー。
使用している素材は、シープ スエードのロイヤルネイビー色。裏地はキュプラ製で色はマスタード。PREBLICで1番軽くてしなやかなのがこのシープ スエードです。シープスエードと裏地はご要望をお聞きし理想のものを手配させていただきました。
このジャケットで最もお伝えしたいのはハンドステッチ。表に出るステッチは全てハンドステッチで仕上げています。ハンドステッチならではの不揃い感がより手仕事感と温かみをジャケットに与えてくれます。
ただいくらしなやかなシープスエードといえどもレザーはレザー。布とは違い繊維に隙間がないため針を一本一本通すのはかなりのハードワークでした。途中で何度も針を置き現実から離脱しました。でも、一度は製作してみたかったハンドステッチによるBUNCHだったので、この手で作らせていただけたことお客様には本当に感謝です。お陰様で根性と技術は以前にも増して磨かれました。
後ろ身頃の腰部分にはウエストバンドが付き、クラシカルでスポーティーな仕上がりです。もちろん寸法はお客様の体型に合わせて製作しています。
それから、定番のBUNCHは襟とラペルは鋭角に仕上げていますが、今回のご注文は襟とラペルは小丸に仕上げています。
温かみを感じるハンドステッチには、襟とラペルは小丸の方が相性が良いとのことで変更しました。
<定番のBUNCH >
<今回製作したBUNCH >
職人としてというよりも人間として成長させてくれた一着になりました。
ご注文ありがとうございました。
このジャケットを作りながら差別化について考えていました。家の近所のラーメン屋も床屋も『何か』がそこにはあるからそこを選んで店に入ってるように思います。
その理由には、近いとか店員さんの愛想がいいからという理由もあるかと思います。
自分もPREBLICを経営していて他とは違うPREBLICだけが持ってる『何か』が何なのかをよく考えます。
これまで経験して感じたことは、一夜漬けで思いついた差別化だと、ただの変な人みたいになってしまう可能性が大きいことです。それだと人の心を惹きつけることは難しいように思います。
大事なことは、自分が持ち合わせている潜在的な能力とかこれまでの背景と産み出すモノの整合性が取れているかということ。
ここかチグハグだとどうしても人には響きにくいことが分かりました。
自分だけが持ってる昔からの癖とか好みから始まって、『何か』という個性が産まれるんだと知りました。
絶対に他の人間には負けないっていう個性をたった一個だけでも見つけることができれば後はただ信じ抜くだけなのかと思いました。