PREBLICの今村です。毎週火曜日に書いています。
先週に引き続き今週も革小物の製作をしています。少しずつですが、形になってきました。
先日、とある人気洋菓子店のニュースを耳にしました。従業員に対して時間外労働の賃金の未払いがあったり、過労死のラインを超えていたというものです。
業界は違えど自分も職人の端くれとしていろいろと考えさせられる内容でした。
自分は給料をいただいて働いていた時期も長かったし、今は独立していることもあり双方から考えると難しい問題だと思いました。
職人は、基本的にモノを作って、それを人に届けることを前提として話をすると、、
作ったモノを誰かの手に取ってもらうためには目に見えないある一定基準値に達する必要があると思います。基準値は技術とか知識面などです。そこに達していないと受け取る側も何となくの違和感に気付いて手に取ってもらえません。
もし未経験で働く場合とか、まだ働いたばかりだったりすると、その人が作ったものはまだ一定基準値に達する手前のモノで、それは人に選んでもらえることはありません。そして、そこに達するまでは先輩の職人は今作っているモノの手を一旦止めて教えないといけません。その間は、今作っているモノの完成は遅くなるし、しかも給料も払わないといけません。自分も昔は手を止めさせて教えてもらっていました。あの時手を止めさせていることがどれほどかを今になって少し理解できました。
教える時間をできるだけ少なくするために、基礎知識とか基礎的な技術ぐらいは身につけてほしいということで、自分も通っていた文化服装学院みたいな専門学校が存在するんだと思います。
ただ自分も文化服装学院を卒業して、渡英し働いて感じたのは、学校を卒業してもまだモノになるまでの基準値には全然達していないということ。ほんの基礎中の基礎しか知らなかったことを痛いほど痛感しました。
職人って有名な人とか、一つ抜けた人は確かに存在します。いわゆる伝説みたいな人です。
ただその人達に共通しているのは、1日何時間働いたとかそんな概念を持ってないことです。本当に毎日息をするみたいにずっとそのことを考えているし手を動かしています。
そんな風にできる人はほとんどいないから、数少ない人になれるんだと思います。
作ったものを選ぶのは自分以外の人で、世の中にはたくさんの強者がいてそんな強者と比べられて選んでもらわないといけません。自分が職人としてどこまでいきたいのかとか、志す人がどんな考え方をしているのかは技術や知識を磨きながら知っていくのは大事なことだと思います。
雇う人も給料をもらう人も同じ人間で、みんなに共通しているのは精神的なことも含めて損はしたくないこと。
自分もいつか一緒に働いてくれる人が出てきた時には、
自分が望んでいることと相手が望んでいることをお互いに丁寧に把握し合って、ここまでなら相手のために譲れたり、ここまでは相手に許容してほしいみたいなことを相手と話してお互いの考えを共有することが大事なのかなと思いました。
そんなことを考えながら今週も製作の日々でした。来週には今製作しているものは完成しそうです。
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