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2021/04/13 10:38

PREBLICの今村です。


今月の4月24日に発売予定のCLUTCH magazineさんに掲載いただくことになりました。

どのぐらいの大きさの記事かはわかりませんが、もしオンライン購読されている方や書店へ行かれた際はぜひご覧いただけると嬉しいです。

取材内容は、ロンドン滞在時の思い出の品や今使っている工具などを紹介しながら日本のクラフトマンとしてご紹介していただく内容です。


もうすでにご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、自分は、2009年〜2011年の約2年間ロンドンに滞在し、ロンドンの老舗レザージャケットメーカーとテーラードの見習いとを掛け持ちしながら働いていました。

帰国後は老舗レザージャケットメーカーの代理店で勤め、2017年にPREBLICという名前で独立し2019年に渋谷区広尾にアトリエ兼店舗で職人として毎日カンカントントンしています。



話を戻しますが、滞在時にテーラーの見習いとして勤めている時に「シンボル(縫う時に針を指で押すためのリング)」だけは良いものを使おうと朝早起きをしてアンティークマーケットへ行きました。ロンドンのアンティークマーケットはローカルで週1だったり2週に1回と定期的にいろんな場所と曜日に開催されています。有名なマーケットだと「ポートベローマーケット」というのが有名ですが、あそこは比較的に観光客向けなので、もう少しマニアックなものとかを探す時はローカルで定期開催しているアンティークマーケットの方がおすすめです。


自分は当時ペックハムという決して治安が良いとは言えないところに住んでいて、家からも比較的近いバーモンドジー アンティーク マーケットへ行きました。ローカル マーケットはものすごく朝が早くて、朝4時頃に始まり、早いところだと朝9時とか10時時頃には出店を閉じるところもあります。早く行かないと良いものは買われてしまうとも聞いたこともあったので何とか開催時間に行きたいと思っていました。幸いロンドンは24時間バスがあるのでそれに朝4時に間に合うようにバスに乗りました。


まだ陽も出ていない暗い中、本当にやっているのかなと少し不安になりながらも、恐る恐る会場へ行くと朝4時にも関わらずすでにたくさんの出店やお客さんがいました。



いろいろ見ていて「誰が買うんだよ」というような動物ドアの取っ手だったり、「どんだけ古いんだよ」というような、、もう土に返りそうな本とか、ガンズアンドローゼズのスラッシュが被っていそうなシルクハットなどジャンルレスなものに溢れていました。たくさん出店が出ていて買わなくても見ているだけでも楽しめてしまうので一軒だけでもものすごく長い時間がかかります。そんな中お目当てのシンボルを見つけました。




シルバー製で年代は、店主いわく1900年代前半とのことです。ブランドすら不明なのにどこで判別しているのかはわかりませんが、模様と形状などから判断するそうです。



そして、次の日のテーラーでの出勤時。

そんな約100年前のシンボルを使って誇らしげに縫っていると、それを見た師匠から「そのシンボルはレディース用でテーラーは使うべきじゃない」と言われていましました。w


「何でですか?」と聞くと、


「レディースの服を縫う時のシンボルはキャップ状(頭部も覆い被さっているもの)になってる。テーラーで使用するものはキャップじゃないないものを使うんだよ」


「......」


「そんなの使いにくいだろ、俺のを一個やる」


と言われて普通の工具屋で売っている約1ポンドのシンボルをもらいました。w


昨日の取材で何が良いかなと探していたらこのシンボルを見つけて当時のいろんなことを思い出しました。


言われた時は、恥ずかしいやら、あんなに朝早起きしたのにとか少し複雑だったのを覚えています。w





ただ師匠からもらったシンボルはめちゃくちゃ使いやすくてもう使用して10年以上経っていますが、まだまだ現役です。


いろいろと学びになった日だったことを覚えています。






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さて今週からレザージャケットの製作に入りました。ご注文いただいているお客様はもう少々お待ちください。


製作過程のジャケットの中から、、




『CORAM』






胸ヨーク、両サイドに大きめのパッチポケット。背中はT字の切り返し。そして、Vゾーン。

カジュアルな印象の”ブルゾン”とフォーマルな印象の”テーラード”を掛け合わせたような面構え。


ジッパー付きのライダースジャケットももちろん大好きでよく着ますが、たまにはこういった少しフォーマルな香りのするものも着たくなります。


ライダースジャケットで使われる丁寧に鞣されたディアスキンやホースハイドに少しフォーマルな香りのするデザインで製作し組み合わせることで、「男らしさ」と「落ち着き」を兼ねた印象になってくれます。


外食する時やちょっとした旅行の時など、シチュエーションによって程良いカジュアル感で少しフォーマルな香りを持った服装は着用する機会も多いように思います。

身に纏うもので行く先々のその場の雰囲気をより楽しむこともできると思います。


しかもレザーは、過剰なケアは必要なくラフに扱うことができます。

しかも長年着用するにつれくたびれた印象ではなく、「味わい」として変化してくれるところもレザーならではの良さだと思います

ただこの「味わい」になるものは素材の良さが絶対条件です。安価はものでは、「経年変化」ではなく「経年劣化」になってしまいます。

あまりレザーに詳しくない方でも、着用した経年変化を比べれば一目瞭然だと思います。






PREBLICで使用しているディアスキンとホースハイドは国産で丁寧に鞣された老舗タンナーのものです。

むしろ新品よりも何年か着用して「味わい」が出た方が価値は高いように感じます。自分の肘の曲がる部分に深い皺が出たり、自分の身体に合わせてレザーの形が変化していく様もただの服というよりも「相棒」に近い感覚です。


昔から自分の周りで言われている「レザージャケットは何着あっても困らない」というのは、男のロマンにも似たものがあります。






今、ちょうどボタンホールと表の両サイドに付くポケットが完成したところです。





表の両サイドにつくパッチポケットは角を出さずに丸みを出しています。レザーの量産ではなかなか丸みを出すのは手間と技術を要するので量産ではなかなか難しいためこういったディテールは手仕事を際立たせてくれます。

そして、レザーと裏地の縫い合わせは手縫いで仕上げています。





裏地をつけることで見た目の美しさ、手を入れた時の肌触り。そして、ものを入れた時にあたりが出にくくなります。

手縫いで仕上げる理由は、裏地を少し内側に縫い合わせることで、パッチポケットを身頃に付けたときに裏地が表から見えないようにするためです。

しかも、ポケットを付けた時にはこの手縫いは見えないんです。でも、この工程を加えることでポケットの”丸み”を綺麗に出したり裏地が表から見えないようにするためにはベストな方法でした。

この文章を読まない限り一生知ることはないと思いますが、語れる細かいディテールの集合体はきっと「良い相棒」になってくれると思います。




写真の『CORAM』は、ロイヤルネイビー ディアスキンとブラック ホースハイド。



いつも言っていますが、同じ形でも素材や色が変わると、雰囲気は全く別物です。


しなやかで落ち着きのあるディアスキンか、男らしいタフな印象のホースハイドか。


どちらも主役になれる素材です。



他のレザージャケットも製作中です。順を追ってまたご紹介させていただきます。