PREBLICの今村です。
昨日、お客様の「WILLIE ll」を撮らせていただきました。
使用しているレザーは、ベルギー産のサドルプルアップレザーです。
使用してから約6ヶ月経過していて、レザーの風合いと透明感のある光沢が写真からでも伝わってきます。
ありがとうございました。
<新品>
<約6ヶ月間使用>
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「CORAM」
新しいレザージャケットが完成しました。使用しているレザーは、スウェードのディアスキンです。
本来、表である表面部分は裏側にして、裏面(スウェード部分)を表として使用しています。
もちろんブラックのディアスキン(表面)やホースハイドでもお作りすることができます。
このレザーを選んだ理由なんですが、、
肌寒くなってきて街に出た時に街の服装がブラックやブラウンなど色のトーンが重いものが多いなと感じました。
着る頻度が多くて幅広いシチュエーションに対応できるブラックやブラウン。何かと手に取る機会も多いと思います。(私もそうです)
ただ、たまには気分を替えて明るめのトーンのも着てみたくなり製作しました。
明るめのトーンを選ぶ時に特に意識したのは
「派手に見えないことと上品さを感じるもの」
基本、黒を着ることが多かった自分にはけっこう明るい色に見えたんですが、意外にも幅広い服装に対応できるところ、羽織ると想像以上に落ち着いた雰囲気になるところが気に入っています。
しかも、白Tシャツにこれを羽織っても様になってくれます。
それから本来、靴の色合わせは身に付ける革小物や革製品の色に合わせることがセオリーだと思いますが、このスウェード素材にいたっては、起毛していることと絶妙な色合いからブラックでもブラウンの革靴とも相性が良いです。デニムやチノ、スラックスでも幅広く良い感じにこのジャケットが調和してくれます。
テーラードの世界では、初めは「グレーのスーツを買え」という言葉が現代でも言われていて、その意味はどんな色でもグレーという色が無彩色のため調和してくれることで持ち物や中に着るシャツやネクタイ、上から羽織るコートなどの色合いを選ばないことからこの言葉は今でも伝わっています。
本来、グレーという無彩色であるが故に「何にでも合わせられる」立ち位置だと思いますが、このキャメルのスウェードもウールのグレーと近い立ち位置に立っているアイテムだと個人的に思います。
ただこれは、キャメルという色合いだけではウールのグレーと同じ立ち位置には立つことはできず、スウェード素材であることと、レザージャケットであることの条件が整った話です。
写真を見ても万能さが分かります。
さて、次はデザインの説明をさせていただきます。デザインの原型となっているのは1960年代のイギリスのレザージャケットです。これをPREBLIC的に再構築させました。
このジャケットデザインの魅力の一つがフォーマルな顔とカジュアルな顔の二面性を併せ持っていることだと思います。
フォーマルな印象も持ったテーラードジャケットのようなVゾーンの面構え。
胸と背中のT字になった切り替え線とほんの少し大ぶりな水牛ボタン。
ウエストのシェイプは、身体の線をあまり拾わない緩やかなウエストラインになっていることでフォーマルな印象のVゾーンにカジュアルな要素をプラスしてくれます。
2つの表情も併せ持っていることからスラックスからカジュアルまで幅広い服装のコーディネートを可能にしてくれます。
そして、前身頃に付いたパッチポケットですが、裏地が配されます。
このポケットの裏地は袖の裏地のバーガンディーサテンと統一させています。ちなみにこちらのバーガンディーサテンはPREBLICで定番の裏地です。
袖とポケットの裏地にバーガンディーを使用した理由は、身頃の裏地のブラウンチェックに少しバーガンディーの色を含んでいたからです。
ジャケットに使用される色数が多すぎると少し賑やかな印象になってしまうため、色数が3色以上あるものは色を拾って色を整えることでまとまった印象にすることができます。
もちろん、身頃と袖の裏地はお客様のご希望でお好きなものを組み合わせることが可能です。
ホースハイドのような「ワイルドさ」はどうしても欠けますが、ディアスキンのしなやかさと軽さはやはりディアスキンならではです。
新しいワードローブに加わった1着です。
次にご紹介するのは、ご注文分のディアスキンを使用したBRANCHです。
実はこのBRANCHというモデルは、PREBLICで最初に誕生したレザージャケットです。
このジャケットを作ると当時のことを思い出すこともあり自分にとっても思い入れの強い1着です。
パターンオーダーの1着で、2点カスタムを加えました。
・袖ジッパーの位置を外袖から内袖側へ変更
・内ポケットの口を1.5cm大きく
本来は、外袖側にジッパーが付いているんですが、内袖側に変更しています。
後ろ身頃を見ていただけると袖に付いたジッパーの位置が確認できます。
「たかが袖ジッパーの位置」
と思う方もいらっしゃると思いますが、ジャケットの表の顔はけっこう変化します。ジッパーの位置を変更すると前からの表情は落ち着いた印象を持たせてくれます。
ライダースジャケットは、裏地は着用すると見えませんが、着用した時は基本的にレザーとジッパーの金属が組み合わせで構成されています。これは好みの話だと思いますがジッパーの金属の数が多く見えるほど、立体感が出て「少し攻めた」印象を与えてくれます。逆にジッパーの金属の見える数が少ないほど、レザーが際立ち落ち着いた印象になります。
どちらが良いというより好みの問題ですね。
そして、左身頃の裏地には内ポケットが配されています。
ご注文いただいたお客様がTHOMAS -Crocodileをご使用いただいていて、お使いのTHOMASがさらに余裕を持って収納しやすいように1.5cmポケット口を広げています。
定番の内ポケットのポケット口でも入るのですが、さらに余裕を持たせる意味で広げています。
ご注文ありがとうございました。