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2020/06/29 12:08

PREBLICの今村です。


以前、Diaryでも書いたフランス産の麻糸を使用した二つ折りウォレットが完成しました。


形は同じでも、レザーと縫製、糸が変わればやはり全くの別物になりました。


ちなみに今回製作した二つ折りウォレットは、手縫いで仕上げています。この手縫いもただの手縫いではなく糸、手縫いのための穴を開ける工具、手縫いの方法まで緻密に考えました。


かなり細かい話しになりますが、しばしお付き合いいただけたら嬉しいです。


さて、まずはディテール説明の前に完成した二つ折りウォレットの写真です。



外装 : クロコダイル

内装 : サドルプル キャメル

糸 : 麻糸 マロン色







外装 : ホーウィン社シェルコードバン ブラック

内装 : サドルプル キャメル

糸 : 麻糸 マロン色






外装 : ホーウィン社シェルコードバン ダークバーガンディー

内装 : サドルプル ダークブラウン

糸 : 麻糸 マロン色






外装 : ホーウィン社シェルコードバン バーボン

内装 : サドルプル キャメル

糸 : 麻糸 アイボリー色






外装 : ホーウィン社シェルコードバン ダークコニャック(ダークブラウン)

内装 : サドルプル キャメル

糸 : 麻糸 ダークブラウン色






同じ形でも外装と内装、そして糸の組み合わせで全くの別物に見えてしまうから不思議です



やはり手縫いの麻糸が、このウォレットの印象をぐっと引き締めてくれます。

ピッチは少し細かくし、近くで見ると斜めに走るステッチはやはりデザインとしての役割を十分に果たしてくれます。レザーにも劣らない存在感があり、それぞれのレザーの良さをうまく引き出してくれるような効果もあります。



ちなみにこの糸は、Lin Cableという名前で、1827年に創業を開始したと言われています。ヨーロッパでは、移動手段として古くから馬に乗ることが多く、馬に乗りやすくするためにレザーで作られた馬具を使っていました

このレザーで形作られた馬具を縫い合わせる際に使用していた一つがこのLin Cableでした。

移動途中に雨が降ったり、泥だらけの靴や人間の体重を支えるのに耐久性は必須でした。そこで主に使用されたのが麻糸だったんです。


この麻糸は、水にも強くさらには、天然素材ということもあり、レザーと同じように経年変化してくれます。



しかも、手縫いのウォレットと聞くと少し「ゴツいイメージがあるんじゃないか?」と思う人も多いかと思います。




でも、そこはさすがのデザインの街フランス。

糸の太さは、耐久性を保つのに充分なギリギリの太さをしています。



そして、


『この糸を通すのに開けるドンピシャリの穴』が必要です。



この穴を開けるための工具が、これ。


こちらも老舗のフランス産のプリッキングアイロンと呼ばれるフォークのようなもの。


これを金槌もしくは、木製の棒で軽く叩きます。これで穴を開けるのではなく、印だけ。




この印を頼りに”オーク”と呼ばれるダイヤモンド型の刃で一穴一穴丁寧に開けていきます。


この穴を開ける際に深く刺し過ぎると穴が大きなってしまうので、レザーの厚みを考えてちょうど良い穴になるように加減しながら開けていきます。



そして、穴が空いたところで針に糸を通して縫っていきたいところなんですが、まだ製作の際に注意すべき点があります。




写真のようにレザーを何枚も貼り合わせる部分は、レザーが暑いので”オーク”を深くまで刺さないといけなくなります。深く刺してしまうとせっかくのLin Cableの良さを殺してしまいます。穴の大きさが大きくなってしまい、糸の太さと穴の大きさが合わなくなってしまいます。


そこで、厚みが厚くなりレザーが重なる部分は、予め同じ位置に穴を一穴一穴開けていきます。

重ねた時に同じ位置に貼り合わせられるように全ての穴を開けて、やっと貼り合わせることができます。

これらの準備が整った後、縫い合わせていきます。



実は、この貼り合わせる前にそれぞれに穴を開けることは、もう一つ大きなメリットがあるんです。



レザーを表から穴を開けて糸を縫うと、表部分は、斜めに糸が走ってくれますが、裏面は、真っ直ぐなんですね。







試しに作ったコースター。



表面(ステッチが斜めに走ります)




裏面(ステッチがまっすぐ)





このウォレットは、とてもシンプルなので手縫い自体が、デザインとして機能して欲しいという願いがありました。


なので、外装から見ても、内装から見ても表から塗ったように糸を斜めに走らせたかったんです。




この貼り合わせる前の穴をあける作業は、地味で途方もないような作業ですが、このウォレットを本当の意味で完成させるためには、とても大事な工程です。


ちなみに、この縫い方は、貼り合わせる2枚がある程度の厚みが必要です。

どちらかが薄過ぎると縫う時に革がちぎれてしまいます。

なので、貼り合わせる部分でも箇所によっては、裏面が真っ直ぐになっています。




モノは、レザーが変わると全くの別物に生まれ変わるように、背景や言葉がモノに宿ると同じように全く別物に生まれ変わります。




シンプルで強いウォレットができました。