PREBLICの今村です。
先週Diaryでは、作図の途中だった新しいジャケットの仮縫いが完成しました。

作図は、縫製とはまた別の神経を使うので時間と体力はなかなか消費してしまいます。
裁断と縫製は、運動に近くて、やればやるだけ精度とスピードが上がっていきます。たまにモードに入れば”無”の状態になることもあって気がつくととんでもない時間になっていることもあります。
ただ作図に関しては、細かい仕様や時代背景を考慮し、PREBLICの哲学とも紐付けながら1本の線を選んでいくので、散らばった意識を丁寧に拾い集めて1本の線を選ばなければなりません。
さて、ジャケットの仕様の説明をしていきます。
フロントは、ボタン4個(ラペルに一回り小さいボタンがつきます。)なのですが、フライフロントと言って、ボタンを掛けた時にはボタンの上に表地のレザーが覆う仕様から、ボタンが表からは見えないようになっています。

PREBLICの定番のLAUNCHは、フロントのボタンは2列になっていてボタンを掛けた時にはボタンが見えるようになっています。
この仕様にした理由は、ホースハイドを使うことを想定していたのでこの仕様にしました。
ホースハイドは、適度な重量感と力強さがあり、比較的カジュアルな印象があります。
2列の配列のボタンは、比較的にフォーマルな見た目の印象があります。カジュアル感の強いホースハイドとフォーマルな印象の2列の配列のボタン仕様はうまく調和してくれると考えました。

でも、今回新しいジャケットは、1列でボタンが4個だとどうしてもカジュアルな印象が強くなってしまいます。
ボタン1個〜2個まではフォーマルな印象はありますが、3個以上だとどうしてもカジュアルな印象は強くなります。
そこで、フライフロントでボタンが見えないようにすることで比較的カジュアルな印象を軽減することを狙いました。
使うまだ素材は検討中なのですが、軽やかさのある素材を考えています。
全体的なデザインは、40年代ごろにヨーロッパで見られるミリタリーの要素が含まれており、フライフロントは、イギリスでは伝統的なチェスターフィールドコートでも用いられます。どちらもクラシカルなことからうまく調和してくれそうです。
そして、腰回りには、バックル付きのベルトが配されます。バックルで引き締めるもよし、結んで縛って引き締めるもよしです。結んで縛れるのも軽やかな素材があってこそです。
素材によって、このデザインも生きることもあれば死ぬこともありそうなので慎重に選びたいと思います。

街着でも、バイクや車などの乗り物に乗っても違和感のないジャケットを狙いにいきます。
それから、フランスから麻糸が届きました。
なかなか希少な麻糸で、PREBLICの将来のものづくりのクオリティーを高めるためには十分な意味を込めることのできる糸です。

この糸について詳しいことは、また後日書かせていただこうと思います。