PREBLICの今村です。
工具が着々と届いてパッケージされたカバーも順調に増えてきました。
これらがテーブルに置かれることでアトリエ兼店舗の雰囲気もしまりがでて、彼らを目にすると自分が積んでいるエンジンのギアが上がります。


彼らを見ながら、自分にとって良い店の作り方を考えています。
自分にとってのアトリエ兼店舗の存在意義は、作り手側の熱量を高く維持して、試行錯誤を繰り返すために効果的な環境を作るためだと思っています。そして、そこの終着点には人に喜んでもらうこと。
ジャケットや革小物の製作途中でも、ちょっとした事やモノで気が散漫してしまいます。
例えば、近くにスマートフォンやパソコンがあって、その中に気になるコンテンツがあれば、一日中退屈することなく過ごすことができてしまいます。
意識がどこかに持っていかれないように、作り手の意識が製作や今後についての考えにフォーカスするために、身の回りの目につくモノは選定しなければなりません。作業を進めながら少しずつ時間を重ねて選定しカスタムしていきます。

これは、いらないモノは全て無くすということとも、少し違っていて、他の人にとっては無駄なようなものでも、自分の積んでいるエンジンのギアを上げるために必要なものであればそれは目に入るところに置くべきだし、そういったモノに囲まれた方が効率も上がるし心も健康です。
道具は自分が使いやすいように、意識が高まるように少しずつ微調整を繰り返すことが大事。そういったものが店の空間に溢れていると、店の雰囲気も変わってくるものです。
店に置いているもので、店の雰囲気は変わり、店の雰囲気が変われば作るものにも影響を与えてくれます。
誰かが、”店は生き物”と言っていたのを聞いたことがあります。

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今、新しいレザージャケットの作図をしています。

この作図が完成したら、次は仮縫いをしてポケット位置や襟、ラペルの大きさなどを微調整して本革で製作していきます。
ずっと前から、新しいジャケットの構想を練っていて、今までモヤモヤしていた構想がやっと感触を感じれるぐらいに固まってきました。
レザージャケットしかり、革小物で新しいモノを作る時に、1番意識するところは、昔から現在まで引き継がれてきている時代背景を考慮しながら作ることです。
具体的に、ジーンズで例えるとリーバイスの501が最高だと言って、タグ、シルエットから全て同じリーバイス501を作ることはリーバイス社以外出来ません。
誰かを立ち止まらせるジーンズを作るためには、ジーンズを自分なりに理解してどこかに、そのブランドのアイデンティティーを感じられるモノを取り入れなければなりません。
このアイデンティティーは、ちょっとしたデザインや素材を変えたり、シルエットの調整だったり他のアイテムとの組み合わせだったりします。このアイデンティティーによって誰かのかゆい所に手が届くように、他と差別化されます。そして、人を立ち止まらせることができます。
ただのデタラメなアイデンティティーでは、意味がなくて、これまでの服装史の歴史に紐づいたもので、さらにそのブランドの哲学を注入させたモノでないといけません。
ただ人と違うからというデタラメな差別化は、やっぱり意味がなくて人には響きません。誰も文句を言う人はいないけど、結果はシビアで正直です。
作って出来上がったモノを見て、良い時あるし、全く良くない時もあります。
こればっかりは、完成するまで分かりません。
良い方向に傾いてくれることを信じて、これから仮縫いを仕上げていきます。