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2020/04/07 22:52

PREBLICの今村です。


最近はテレビをつければコロナの話題で毎日不安な日々が続いております。

こんな経験は、もちろん誰も経験したことがありません。これをきっかけにいろんなもののルールや(コロナ前に)当たり前にやっていたことに、コロナ問題が過ぎ去った後でも、少し抵抗する気持ちが生まれたりして変わってしまうものも増えるかもしれません。コロナが過ぎ去っても、コロナで変えられてしまった人の感情や気づきは確実に時代を変えているであろうと思います。

自分個人は、ものすごく原始的な方法論でここまで駆け抜けてきましたが、そんな自分もこれから確実にやってくる時代に対して微調整を重ねていかなくてはならないのかもしれません。



自分は、レザーのジャケット、革小物を作ってお客様にお届けし、その対価としてお金をいただいて生活しています。

こんな時に、自分のような最低限生活に必要性のない商いをしている人間は、今複雑な感情を抱いた経験が一回ぐらいはあるのではないかと思います。



複雑な感情というのは、



「衣食住」という言葉通り、





生き物として生きるためにまず最優先されるべきは、「食べる」ものです。最低限食べるものがあれば人は生きられます。






そして、「住む」ところ。雨や外の寒さから身体を守ってくれます。住むところがあることで身体や心を清潔に保ち、心身を整えることができます。






そして、これら2つが整って初めて


「衣食住」の『衣』の部分。つまり衣服や持ち物、趣味などの遊びの部分が出てきます。



緊急の時は、「食べるもの」「住むところ」が順番で優先されます。




こんな状況を見た時に、『衣』の商いをしている自分の無力さを感じることが少なくありません。


ただ、これから未来が良くなるであろうことを願って、それを原動力として日々を過ごしています。





「衣食住」という文字で一番初めに『衣』の文字が並びます。


なぜ?



生きる上で後回しにされる『衣』という文字がなぜ一番初めに並ぶのかを考えてみました。たくさん考えた末、出した答えは、人間のみが自分で『衣』を選ぶことができるからだと思います。

動物に中でも知能の高いとされているイルカやチンパンジーは、「遊ぶ」ことができますが、人間に着せられることはあっても、自ら『衣』を選び着ることはありません。


身体の構造も含めてさまざまな条件が揃った人間のみが、『衣』を自ら選び「遊ぶ」ことができます。


そして、『衣』を選ぶことの行き着く先は『豊かさ』なのではと思います。


『豊かさ』を、辞書で調べてみると

”ゆとりが見えるほど満ち足りた状態であること"



今、この『豊かさ』という言葉が少し遠くなってきていますが、必ずこの『豊かさ』が求められる時がまた訪れると思うので、このまま嵐が過ぎるのをただ待つというよりも、コロナによって変えられて確実にやってくる時代に対して何かしらの準備することも大事かなと考えています。



早く過ぎ去ることを願っています。


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さて、そんなことを考えながらも、


まだ完成していないのですが、進行中のご注文分のものを書かせていただきます。


一つ目は、ビスポークのディアスキン スウェードを使用したレザージャケットの製作過程です。


ちなみにスウェードとは、基本的にレザーの裏面のことをスウェードと言います。

レザーに詳しい方はご存知かと思いますが、スウェードには大きく2種類あります。




1つめは、皆さんがよく見るレザーの表面(因みに”銀面”と言います)を裏表逆にしたスウェード。




2つめは、銀面をなくしたスウェードです。銀面がついたものは別なもので使用されて残ったものです。例えば、銀面付きの4mmの厚みのレザーがあったとして、1mmの厚み(銀面付き)に漉いたとしたら、1mm厚(銀面付き)と3mm厚のレザーの2枚に分かれます。

2つめのスウェードはこの3mm厚のレザーのことです。なので表面も裏面もスウェードということですね。




今回、製作中のレザーは、1つめの銀面を裏側にして、スウェード面を表に使用しています。

1つめのスウェードのメリットは、いくつかあり、袖に裏地を付けなくても袖の通りが良いところです。裏面(内装)が銀面になっていることで、袖に手を入れた時に毛足がないことで滑りが良いんですね。2つめのスウェードだと両面ともスウェードで毛足があることから袖通りがあまりよくありません。

そして、もう一つは、裏地がないのでジャケット自体を軽く仕上げることができます。

デメリットをあげるとすれば、作り手側からすると銀面の付いているものの方が基本的には高価であることです。



そして今回、お客様のご希望でこの1着のためだけにレザーの厚みは少し薄めに仕上げてもらっています。

あまり薄過ぎると耐久性が下がってしまいますが、ディアスキンは、しなやかさもありながら、耐久性も非常に高いレザーです。ディアスキンのレザーの特性と軽さ、耐久性を考えたギリギリの厚みに仕上げました。



ちなみに、袖と後ろ身頃には、裏地が付きません。ただ内ポケットをつけるために前見頃のみ裏地を付けています。

お客様が普段の生活で中に入れたいものの大きさにポケットの口、ポケットの深さを設定しました。

右内ポケットは、口が広いことで時間が経っても口がヘタれないように真ん中にスナップボタンを配しています。


↓左内ポケット



↓右内ポケット



そして、後ろ身頃の背中心は、ハンガーにかけた時に見栄えするようにカーフスキンのレザーでパイピングを施しています。この一手間でジャケットの印象はぐっと引き締まります。




完成が楽しみな1着です。





次は、革小物のビスポークです。


普段お客様がお使いのウォレットを参考に、

こことここの部分がこんな感じになっていたらさらに使いやすくなる」

というようなご要望からご注文いただきました。


こちらの革小物もレザージャケット同様で少し複雑なものは仮組み(ジャケットでいう仮縫い)をします。

仮組みとは、お客様からのご要望をお聞きし、いきなり本番のレザーで作ってしまうと微妙な寸法の違いだったり作り手とお客様の微妙な解釈の違いが生じてしまう可能性があります。そのすれ違いを防ぐために仮組み用のレザーを使用し仮組みを製作します。


<仮組み>



本番で作って


「(お客様が)これじゃないな..」


みたいなことにならないためです。


それから、素材を無駄にしないためです。



イメージ(イラスト)だけよりも、原寸で仮組み用のレザーで作ったものをお見せした方が、お客様が求めているもののドンピシャリを狙いにいけるからです。



こちらは、ラウンドジッパーで開くとカードが左右に7枚ずつで合計14枚のカードが入ります。

さらに、左面の裏ジッパーの裏には大きなポケットが配されます。ここにICカードを入れたいというご要望でした。

真ん中の両方にもポケットがあります。




↓ICカードポケット



そして、お客様が普段お使いのラウンドジッパーのものは、幅が狭いということでした。中にカード、キャッシュなどを入れた時にこの幅だと少し狭くてパンパンになりすぎてしまう問題がありました。

その問題を解消するために定番よりもジッパーのテープが1cm程幅広のものを特注しました。こうすることでウォレット自体の幅を広げることができ、より多くの収納が可能になります。



ちなみに、こちらで仮組みは完成ではありません。

お客様がこの仮組みができる間にもいろいろと仕様の構想を考えていただいていました。

大きさとラウンドジッパーのデザインはこのままで、これから、さらに仕切りを増やしたいということでした。


既にお持ちのウォレットは真ん中にお札と名刺をただ入れていただけだったので、中でお札と名刺が暴れてしまうという問題がありました。

それを防ぐために中に、もう一仕切り、お札と名刺の収納できるものにしたいということでした。


この仮組みをお見せしている最中にお客様とお話しし、ある程度の構想は練ることができました。


ということで、2度目の仮組みをつくる運びとなりました。


まだ2度目の仮組みは完成しておりませんが、この難解なクイズを解いた2度目仮組みが完成しましたら、またDiaryでご紹介したいと思います。





“目的は、お客様が求めているところのドンピシャリを取りに行くこと”






どちらとも完成が楽しみです。