THOMAS(マネークリップ型ウォレット)が生まれてから、本当にありがたいことにたくさんの方にお使いいただいております。
自分で使用してみて問題なく使用しておりましたが、お客様によって使い方は様々であることを深く再認識致しました。
使い方によって、不具合が生じる方が出てきてしまいました。お恥ずかしく、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。
そんな方々からの貴重なご意見を頂戴し、そのご意見からどういった改善をおこなったかということをこちらからお伝えすることが何より大事なことだと考え、お伝えさせていただきます。現在、販売しているものはこれからお伝えするものを全て改善、修正したものです。
THOMASは、上の写真のように真ん中のクリップでお札を止めることができ、カード入れが4室、側面にジッパーのついたコインケースが配されたものです。
クロコダイル、ホーウィンシェルコードバン、サドルプルアップ、サドルプルアップSDの4種類あります。
上の写真2枚で赤く丸印で記したところを改善しました。(写真は改善されたものです)以前はこの赤い丸で記した縫いめが端まで続いていませんでした。デザイン的に敢えて途中で縫いめを止めた方が美しいと考えておりました。しかし、お客様によってコインを出し入れした時に上の部分が裂けてしまう現象が起こってしまいました。使用には問題はないのですが、どうしても気になってしまい縫いめは端までの仕様に変更しました。
こちらは、レザーのコバ(側面)部分を改善しました。こちらはレザー小物でも高級な仕立ての時に用いる方法で、磨きあげた後に専用の塗料を塗っております。この方法は、レザーそのものの耐久性をそのまま維持し、使用していても形状を長く維持してくれるものです。
長年の使用でコバ(側面)部分が劣化してきても、磨き塗り直せることから修理しやすいというメリットがあり、耐久性が高く、経年変化し、使うほどに味わいが出るレザーに使用されることが多いです。こういった理由からこの方法でコバ(側面)処理を行っております。
改善前は、よりスムーズにするために専用の塗料を塗る前に番手の細かいサンドペーパーで磨き上げた後に塗料を塗っていました。
この工程こそが、塗料を剥がれやすくしてしまっていました。ペンキ塗りの原理と同じで塗料を塗る断面がツルツルだと剥がれやすくなってしまいます。
そして、さらなる原因として私は4室あるカード入れには各1枚ずつ入れて使用しており、このコバ(側面)部分は剥がれることがなく問題なかったのですが、カード入れ1室に対してカード2枚以上入れ4室のカード入れにカード8枚以上常時入れる方もいらっしゃいます。
基本的に1室に対してカード1枚の使用で製作しておりますが、もちろん、1室に対してカード1枚だけ入れる決まりなんかはありません。たくさんカードを入れることで側面は引っ張られ、側面が伸び縮みすることから塗料が剥がれやすくなっていました。PREBLICとしてもたくさんの方に使っていただきたいと考え、一人として同じ使い方の方は存在しません。極端な使用例を除いたほぼ全員の使い方にも耐えうるものを作らなければなりません。
そして、改善方法は、番手の粗いもので側面を荒らした後に塗料を塗り、しっかりとレザーに圧着させます。塗料が乾いたら初めのサンドペーパーよりも少し番手の細かいもので側面を磨き、その後に塗料を塗ります。少しずつサンドペーパーの番手を細かくしていき、ある程度スムーズになるまでこの作業を繰り返すことで見ためもスムーズでより密着度の高いものになりました。
最後にジッパーに付いているレザーの持ち手を改善しました。
こちらの写真も改善後のものです。改善前はレザー1枚を接着し、真ん中にリベットを打った後にコバ(側面)部分に専用の塗料を塗っています。しかし、長く使用するにつれこの持ち手部分が少し薄いことに気づきました。レザーは曲がれば曲がるほど柔らかくしなやかになっていきます。
そこで改善後は、薄いレザーを1枚張り合わせることで厚みを増し毎回のジッパーの開閉にも耐えうるものにしました。
改善前もちぎれることはないと思いますが、改善後のものは厚みがあることで開閉する際の安定感が増すものになりました。
さらに、厚みが増すことで、レザーのくねりが緩和できることから塗料も剥がれにくくなりました。
大変お手数で申し訳ございませんが、改善前のもので万が一不具合が生じた場合は無償でお直しさせていただきます。
よりよいものづくりがこれからもできるように、日々精進して参ります。
よろしくお願い致します。
PREBLIC 今村