レザーで本縫いをする前に布で形組みをするのですが、この形組みが完成してから何日か時間を置くことがあります。
形組みが完成後はコートを見たり着たり、ボディに着せたりといろいろな角度から見ます。着用して鏡越しに見るものとボディに着せて客観的に見るのではやはり違いがあります。どこか修正するところがないか、どこかおかしいポイントがないかを見ていきます。
先日、「もう修正するところはない。やっと完成した」と肩の荷が下りた時に、ふと斜め後ろからこのコートを見たときにあるポイントに気付きました。
上の写真で★印をつけているところです。
修正前は上の写真のようにヨークの上に袖の切り替え線がありました。
もちろん、好みでわざとずらしたり、何も考えずにたまたまずれていることもあります。
上の写真は修正後で、後ろのヨークと袖の切り替え線をぴったり合わせているものです。
こういったちょっとしたディテールは何かのちょっとしたタイミングときっかけで気付くことがあります。
このコートもこの一個のディテールのようにたくさんのディテールの集合体で完成されます。
もしかすると一生気にも止めないところかもしれませんが、着用している方が何かの拍子で気付くことがあれば、きっと少しだけでも誇らしく思っていただけるのではと考えています。
人間のみが好きな服を自ら選び着ることができます。こういった最低限生活する上で特に必要のないところに人間の豊かさが詰まっているような気がします。